東京オリンピック、日本選手の活躍が目立っていますね。
最高のパフォーマンスを出すときの心理状態を表す時に、「ゾーンに入る」という表現が使われることがあります。
「ゾーンに入る」とは、集中状態で、かつ至福の境地に至っている瞬間のことを言います。
オリンピック中は、ゾーンに入っているなと思わせるアスリートをたくさん見つけることができて、人間の超越したパワーに驚嘆することがあります。
オリンピック選手から語られるゾーン体験
今回、初めてオリンピック種目に採用されたサーフィンで見事、銀メダルに輝いた五十嵐カノア選手がテレビ番組のインタビューでこんな発言をしていました。
(実際には)0.5秒くらいしか飛んでいなかったと思うんですけど、30分くらい上に飛んでいたような気がして……飛んでいる間に、まわりのファンの声も聞こえて、家族の声も聞こえて、メダルの重さも感じて、これをちゃんと着地したらメダルが決まる!そう確信していました。
あの準決勝で決めた大技、フルローテンションエア(今回初めて技の名前を知ったのだけど、あんなことが出来るなんて凄すぎる!)の瞬間、五十嵐選手の意識はスローモーションのようになって、いろんなことが浮かんでいたんですね。
それにしても、メダルの重みまで感じていたとは。
すでにその瞬間に未来をキャッチしていたのですね。
いまここにものすごい集中していながらも、過去も未来も同時にそこにあって、冷静に、かつ俯瞰した目で自分のことを見ていますよね。
まさにこの時、ゾーン状態であったんじゃないでしょうか?
ゾーン状態の感じ方は人それぞれのようです。
走り高跳びの日本代表、戸辺直人選手も、良い記録を出した時にゾーンに入った経験をしたことがあるそうです。
「走り始めた時に周囲の風景がぼやけて、バーだけが光って見えた。そして飛び越える時に時間が止まったような気がしてすべてがスローモーションになった」というような感想をテレビ番組で語っていました。
ゾーン状態の特徴
感じ方はそれぞれだとしても、ゾーン状態で最高のパフォーマンスを出せる時というのは、次のような特徴があります。
緊張とリラックスのバランスがとれている
ほどよい緊張感に包まれていて、リラックスしすぎていない状態です。
スキルが磨かれていながらも、さらに高みを目指そうとしている
技術を習得し慣れてくると、飽きたり、惰性がでてきたりしますよね。
そんな風にモチベーションが低い時には、パフォーマンスが落ちます。
そうではなく、一定のスキルが磨けていて、さらなる上を目指してチャレンジしている、そのワクワク感がゾーン状態を引き寄せます。
次にやることを考えていない
ゾーン状態の時には、次に何をしたらいいか、ということを考えていません。
完全に今ここに集中できている状態です。
悩んだり、迷ったりしているとゾーンには入れません。
いわば、オートメーション、流れ作業に乗っている時の方がゾーンに入りやすいのです。
私たちがゾーンに入るには?
ゾーンに入るのは、優秀なアスリートでなくても、誰でも経験することができます。
「今日はあっという間に仕事が片付いちゃったなぁ」とか、「なぜか普段以上のパフォーマンスが出せたなぁ」という時、しかも、とても集中できて恍惚とその仕事が出来た時というのは、きっとゾーンに入っていたのではないでしょうか。
その状態を意識的に作るなら、何かに取り組む前に、次のことを心掛けるとよいですね。
- 緊張しているな、と思ったら、深呼吸などでリラックス
- 反対に、だらけているな、と思ったら、ほどよい緊張状態を作るために気合を入れる。
- ちょっとチャレンジングなテーマを持って取り組む
さらに、一番大事なのは、考えなくても作業が進むようにしておくこと、です。
- to doリストや工程表を準備する⇒何をすればいいかを予め明確にしておく
- 必要なものは全部手元に揃えておく
- 気が散らないような環境に身を置く
ゾーンに入りやすい職業というのは、職人さんとかオートメーションの工場で働く作業員さんだそうです。
確かにしっかり設計があって、作業がはじまったらその流れに乗って進めていますよね。
ゾーンとは、催眠状態の一種
ゾーンに入っている時というのは、顕在意識と潜在意識と繋がっている催眠状態の一種だと言われます。
催眠状態に入ると、意識が研ぎ澄まされ、直感力が非常に冴えてきます。
普段活性化していない潜在的な能力が引き出されやすくなります。
ゾーン状態が一種の催眠状態であるとするならば、潜在意識と繋がることに慣れ親しんでいると、ゾーン状態に没入しやすくなるかもしれません。
私もヒプノセラピストになってからの方が、没入感を感じることが多くなりましたし、直感も磨かれてきたように思います。
1日に何度も潜在意識状態になりますからねぇ。
知らず知らずに、トレーニングになっているのかもしれません。
何かに夢中になって、至福を味わいながら、サクサクっと仕事が進んだり、やりたいことができたりしたら、とっても嬉しい!
なんだか特別な人が味わえるもの、と思ってしまいがちですが、ちょっとした工夫をしていくと、意外と日常生活の中でプチゾーン状態は味わいやすくなるのかもしれません。